医師の教育体制の概要
講義形式の学習
診療セミナー
精神疾患を中心に、疾患概念、薬物療法、リハビリテーション、地域生活支援の概要について、各専門職が講義を行います。また、講師派遣は院内のみに偏らず広島大学など他の機関から講師派遣を行っていただき、最新で幅の広い内容が学べるように研修体制を組んでいます。
業務を通じた学習
新患予診
どの疾患においても患者の現病歴を聴取することは重要ですが、特に精神疾患においては、患者の現症のみならず、生育歴、発症前後の経過など長期に渡った患者の経過を聴取していけるようになることが、診断や治療方針を立てていく上でとても重要になってきます。一方で、精神疾患の予診が適切に取れるようになるためには、しっかりとした訓練が必要になります。当院では研修の先生に、まず新患の予診を取る訓練を行っていただいています。また、予診をした患者の担当医の診察に入っていただき、診察終了後には担当医と診断や治療方法についてのディスカッションを行い、各症例において具体的な治療方法を学習していただくようにしています。
診察見学(シュライバー)
主治医の診察についていただくことによって、治療開始後の患者の具体的な診察・治療方法について学んでいただきます。また、様々な医師の診察に同伴していただくことによって、診察・治療方法の幅が広がります。
当直研修
救急患者が受診する当直帯では、日勤帯と異なり制限された治療環境の中で臨機応変の対応をしていく必要があります。特に「今回の診察でどこまでの対応を行い、翌日以降の対応にどうつなげていくのか?」の見立てができるように求められます。当院では、当直医の診察に同伴していただくことにより、診療技術を高めていただく訓練を行っています。
隔離・拘束診察
急性期の患者を毎日診察していただくことにより、薬物療法の反応性など患者の状態の変化の詳細を捉えることができるようになります。また、精神科医療においては精神保健福祉法に基づいて隔離・拘束が行われており、患者の人権を損なわず、いかに最小限の行動制限を行っていくかを学んでいただきます。
行動制限最小化委員会参加研修
精神科医療において、患者の行動制限を行うことがどうしても避けられない場合があります。精神保健指定医の認可は、「いかに患者の人権を損なわず、必要最小限の行動制限で治療を行えるようになるか」を問われています。行動制限最小化委員会に参加していただくことにより、行動制限の実際について具体的に学ぶことができます。
リハビリ・地域生活支援部署研修
精神科医療において、急性期の治療のみでなく、患者の回復期や地域生活を実際に観察していくことは、治療全体を俯瞰し治療方針を立てていく上でとても重要です。当院においては、研修の先生に作業療法・デイケア・生活訓練施設・訪問看護に参加していただいています。
新患カンファレンス
新患予診がしっかり行えるようになれば、初診患者をご自分で診察していただくようにしています。一方で、一人で診察するようになって初めて生まれてくる疑問点も出てくるでしょう。当院では、毎週金曜日に研修の先生が受け持たれた新患をプレゼンテーションしていただき、診断や治療方針などについて他の医師とカンファレンスを行う機会を設定し、診療技術の向上を図っていただいています。
症例検討会
研修の先生や当院に勤務している医師が治療に難を要している症例を持ち寄り、症例検討を行います。このことにより、継続的により幅の広い診療技術を身につけることが可能となります。